「タクシードライバー」と聞くと、「お客様を目的地までお届けする仕事」というイメージが大きいかもしれません。もちろん、お客様を安全に目的地までお連れすることはドライバーの基本ですが、タクシー業界には「移動」だけにとどまらず、さまざまなサービスでお客様を支えている会社があります。
神奈川県・横浜市に本社を構える三和交通株式会社もそのひとつ。観光案内や空港などへの定額サービス、陣痛タクシー、キッズタクシーなどのほか、一定の条件を満たした熟練ドライバーに依頼できる「達人ドライバー・熟練ドライバータクシー」、犬や猫などのペットと乗車できる「ペットタクシー」など、さまざまなサービスを展開しています。
特筆すべきは、「心霊スポット巡礼ツアー」や「三億円事件ツアー」といったおもしろ企画。「目的地までの移動」という通常のタクシー利用の概念を超え、タクシーで心霊スポットや事件現場を巡るという一種のメンタテインメントを提供しています。
今回は、数々の斬新なおもしろ企画を打ち立て、さらにコロナ禍でも新たな生活様式に柔軟に対応している三和企画の取り組みをご紹介します。タクシードライバーへの転職をお考えの方は、参考にしてみてくださいね。
三和交通では、他社とは一線を画したユニークな企画やサービスが提供されています。例えば2014年にスタートした「タートルタクシー」。タクシーといえばスピーディにお客様を目的地まで送り届けるのが一般的ですが、この「タートルタクシー」はゆっくり走るサービスです。
三和交通がお客様にアンケート調査をしたところ、妊婦さんや小さなお子様連れ、または車酔いしやすい方など、「早く走る必要はない」と考えているお客様も意外と多かったのです。同時に、多くのお客様がタクシードライバーに「ゆっくり走ってほしい」と直接は言い辛いという事実もわかりました。そこで三和交通は、タクシー車内にカメのマークの「ゆっくりボタン」を設置。言葉で伝えなくても、ボタンを押せばドライバーがより安全運転を心がけ、発進の際や曲り道でゆっくり走行。揺れが起きないように意識して運転してくれるサービスです。
また、「住宅内覧ツアー」も珍しいサービス。タクシーに乗車して新築や中古物件を内覧するツアーです。あらかじめ不動産会社から届いた資料をもとに、お客様だけで自由に物件の内覧が可能。運転はプロのタクシードライバーに任せ、物件や周辺の住環境チェックに集中することができます。また乳幼児や体の不自由な方の乗車も対応できるので安心です。オプションで女性アナウンサーによる物件解説もつけることができます。
このように、目の付け所がユニークな三和交通ですが、なかでも大人気なのが「心霊スポット巡礼ツアー」と「三億円事件ツアー」です。
「心霊スポット巡礼ツアー」は2015年からスタートした大人気企画。毎年8月に開催され、神奈川、東京、埼玉の本物の心霊スポットをタクシーで巡るというもの。車内ではタクシードライバーによる現場解説や怖い話もあり、肝試し感覚で参加できる怪談ツアーです。なかにはオールナイト運行で8時間かかるツアーもありますが、各エリア10組(東京・多摩地区は5組)しか参加できないということで、毎年応募が殺到しています。2018年には1991件の応募があり、倍率41倍という人気を誇っています。
「三億円事件ツアー」は2018年に開催されたツアー。1968年に東京都府中市で発生し、1975年に時効を迎えた未解決窃盗事件「三億円事件」の現場を巡るツアーです。日本犯罪史上最大のミステリー事件の現場をまわるということで、当時の事件を覚えている方や歴史好きな方から好評を得ました。
独自のおもしろツアーやサービスを展開している三和交通ですが、こうした企画はどのように作られているのでしょうか。
三和交通では、月に1回「新サービス開発会議」が開かれています。新卒入社の社員や広報、各営業所の所長などが集まり、代表の吉川永一氏と新サービスについて話し合います。またタクシードライバーも各営業所に広報委員会があり、月1回の営業所会議で発案する場が設けられています。現場から出てきたアイデアは本部に持ち帰って検討し、良いものであれば企画化され実現されます。実は前出の「三億円事件ツアー」も、タクシードライバーの発案が採用されたもの。
三和交通では、新卒でも中途採用者でも、広報でもドライバーでも、内容が良ければ「自分の企画」を形にできるチャンスがあります。誰でも意見を言うことができる基盤が整っているのです。
誰でもアイデアや企画を提案できる三和交通ですが、その社風を導いているのが代表の吉川氏。自身もアイデアマンで、人気ナンバー1の「心霊スポット巡礼ツアー」や「住宅内覧ツアー」などは吉川氏が発案しました。
また動画制作やクリエイティブ関連に携わっていた自身の経験から、採用に力を入れるタクシー業界だからこそ、コマーシャルや広告、SNS活用の重要性を実感。自社でサービスやツアーを企画し、メディアやSNSで積極的に発信するスタイルを確立しています。
例えばTwitterやInstagram、facebookでは公式アカウントを持ち、日々の業務やちょっとしたメッセージを毎日発信。エイプリルフールネタやおやつの時間などを教えてくれる「気まぐれ時計」など、ほのぼのした投稿で話題を呼んでいます。
またYoutubeでは広報部がYoutuberとなり、さまざまなコンテンツを発信。例えば今回のコロナ禍では、2月下旬という早い段階で「新型コロナウイルスから身を守るタクシーの乗り方動画」を製作。車内という「密」な状況でタクシー乗車が怖くなったお客様へ向けて、安心して乗車できるように車内消毒の様子などを丁寧に伝えています。この動画は再生回数4000件を上回り、多くの方から関心を持たれました。
また株式会社ドワンゴの運営する「ニコニコ生放送」でも公式チャンネルを開設。「心霊スポット巡礼ツアー」をドワンゴ社員が体験する様子も生配信しています。webやSNSをふんだんに活用し、「タクシー利用者以外」のファンを増やしているのも三和交通の強みです。
最近では三和交通が新企画をリリースするたびに、「また三和交通がなにかやってる」「『この企画なんだ?』と思ったらまた三和交通だった!」とTwitter上で話題になるようになったといいます。「おもしろ企画といえば三和交通」というイメージが定着しているのです。また、公式ホームページでもさまざまな企画が発信され、採用情報も充実。転職者からも「ホームページが生きている」という声が多く挙がるといい、広告やコマーシャル、SNSに力を入れている成果があらわれています。
三和交通は新型コロナウイルスへの対応も迅速でした。お客様向けのサービスのほか、従業員や転職者に向けてのテレワーク、オンライン説明会など、早々と新しい生活様式に適応しています。各種ツアーも窓を開けての車内喚起やエアコンの外気設定、こまかい消毒など感染症対策を行いながら運行されています。
普段は「外に出るツアー」を積極的に提供している三和交通ですが、緊急事態宣言や自粛の影響も考慮し、「さまざまな移動に伴うボトルネックの解消」を掲げた対応をしています。
4月6日にいち早くリリースしたのが「おつかいタクシー」です。コロナの影響で外出が困難になった中、「タクシーとしてできることは『お客様の足』になること」と考え、救援サービスの一環で行っていた代行サービスを、わかりやすく名前を変えて再スタートさせました。買い物代行や薬局へ薬を取りに行くなどさまざまな利用ができますが、30分1900円というリーズナブルな価格で利用者を増やしています。
5月からはフードデリバリーサービスも開始。多くの飲食店がテイクアウトなどを模索する中で、「地域のお世話になっている飲食店の力になれるのでは」という思いから「三和交通primeデリバリー」という名でスタートしました。横浜市のイタリアンレストラン「CAMBUSA」との提携から始まり、現在は「横浜イーツ」「多摩イーツ」「埼玉イーツ」と銘打って、各エリアの地元飲食店13店舗の料理をお客様の元へ届けています。
三和交通では、4月16日に緊急事態宣言が発令されると、23日には社内でテレワークを導入。事務職や配車業務を行うオペレーター職が自宅で作業できる環境を整えました。社内のシステムがテレワークに移行できる状態だったため、比較的すぐに導入できたといいます。
またコロナの影響で新卒入社の内定取り消しなども話題となりましたが、通年採用している三和交通では、内定取り消しになった人々にもアプローチ。「密」や「集団」を避けなければならない状況下で、Zoomを使用したオンライン説明会や面接を行うことを決めました。
オンライン説明会は初の試みだったため、社内会議なども基本的にZoomで行い、社員がオンラインに慣れるベースを作っていったといいます。現在は新卒採用も中途採用もオンラインで説明会や面接を行っており(希望者は対面にも対応)、積極的に採用活動を続けています。
三和交通には、「お客さまに喜びと感動を与えよう」という社訓があります。快適な移動でお客様が喜ぶことはあっても、「感動する」というのはなかなか難しいことです。しかし三和交通では、「移動」を超えたおもしろい企画や斬新なツアーを次々と考案し、お客様に感動を与えています。
そんな三和交通では、新卒者や中途採用者、未経験のタクシードライバーがプロとして一人前になれるように、言葉遣いやドアサービスなどもマニュアルがしっかりと作られています。しかし「ただ移動先までお送りする」という意識ではタクシードライバーは務まりません。「サービス精神が旺盛」で、「人を思いやる気持ち」を持ち、「マニュアル+α」の気遣いができることが必要になってきます。雨が降っていたら傘をさして迎える、荷物を玄関先までお持ちするなど、接客業に近いイメージで、こまやかな対応が求められます。
三和交通は、「タクシー業界は未来のある業界だ」と語ります。「AI化が進んでも、人間ができる気遣い、思いやりのある接客、ロボットにはできない『人間だけができるタクシー接客』の重要性はなくならない」と考えています。
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~リンク~
・三和交通のコロナ対策コラムはこちらから
「デリバリーにテレワーク!コロナ禍で柔軟に対応する三和交通」
https://www.tr16.jp/column/covid-19-sanwakoutsu/
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